( 敦賀蓮グッドエンド/同棲中 ) カーテン越しの光が室内を優しく包む爽やかな朝。 徐々に明るくなる室内に自然と目を覚ました蓮は腕の中の温もりに柔らかく微笑んだ。 白いシーツの海の中で彼女の胸の上に散った赤が一際鮮やかに目を引く。 昨夜何度目かの絶頂で気を失ったキョーコをそのまま抱きしめて眠ったためその赤い痕はまだ酷く生々しかった。 自分が付けたその赤い痕を満足そうに見つめた蓮は眠るキョーコの顔に口付けを落としていく。 目尻への口付けにはほんのりと塩の味が混ざった。 ついつい求めすぎてこんな風に泣かせてしまう。 体力が違いすぎるのだから蓮が満足する所までキョーコが付き合うのは相当な負担となるはずなのに。 キョーコはそれでも自分の意識がなくなる限界まで蓮を受け入れようとしてくれて。 快感と苦しさに涙を零して喘ぐキョーコの艶かしさはさらに蓮の欲を煽って、意識のないその身体を揺さぶり続けたこと さえあった。 「キョーコ…ちゃん…」 名を呼ぶだけで気が狂いそうなほどの愛しさが溢れてくる。 奇跡のようだ。 今のこの状況は。 最悪な出会いからスタートした二人の関係は永遠に平行線で交わることはないと思っていた。 復讐などという不届きな理由で芸能界に入ったキョーコを蓮は到底許せないと思っていたのだから。 しかし、驚くほど様変わりをしたと思っていた思い出の中の少女の心は昔と変わらぬ純粋なもので、その真っ直ぐな心 に触れるたび蓮は彼女に惹かれて行く自分を抑えることが出来なかった。 そして今となっては互いに離れることの出来ない連理の枝のように、蓮にとってキョーコはかけがえのない存在となって いる。 その想いでキョーコを押し潰してしまいやしないかと自分で自分が怖ろしく感じることもあるくらい蓮はこの少女を愛して やまない。 許されるなら他の誰の目にもされられることのないようこの腕の中だけに閉じ込めてしまいたい。 そんな狂気に支配されそうになることも一度や二度ではなかった。 「君が好きすぎて俺はおかしくなりそうだ…」 とうにおかしくなっているのかもしれないが。 自嘲気味に笑って蓮は眠るキョーコの唇を撫でた。 この唇から紡がれる愛する男の名は未来永劫自分のものだけであって欲しい。 そんな願いを込めてキョーコの柔らかな唇をなぞってゆく。 すると、キョーコの唇が薄く開き、そこから閃く赤い舌が口内に招くかのように蓮の指に絡みついてきて… 誘われるままにその指をキョーコの口に差し入れる。 と、驚いたことに彼女はすぐさま吸い付くと、ちゅっちゅと音を立てて蓮の指をしゃぶった。 その動きはぎこちなくも蓮を愛そうとしてくれるいつもの愛撫そのもので、 起きているのか? 一瞬そう思ったが、漏れ出る吐息は穏やかな寝息のまま。 「夢の中でまで俺を求めてくれてるの?」 キョーコの無意識での行動に知らず蓮の口元が綻ぶ。 同時に強い情動がその下腹へと集中していく。 ゆっくりと指を引き抜くと、キョーコの舌が惜しむようにその後を追いかけて、 「キョーコちゃん……」 蓮は優しくキョーコの名を呼ぶ。 夢の中に忍んで行くことは出来ないから、 「目を、覚まして…」 目覚めて現実の自分を求めて欲しい。 蓮は抜いた指の変わりに深い口付けを与えるとまだ覚醒せぬキョーコの身体を拓いて自分の熱とキョーコの熱を一つ にしていった。 End |